最近、テレビや雑誌などで、分譲住宅派と賃貸住宅派との論争がもてはやされている。それらを見ていると、どうも賃貸住宅派のほうが分がいいようだ。
あくまでも京都に限っての話だが、私は「快適な生活を送るに値する賃貸住宅はない」と思っている。入居条件ひとつを見ても、そうである。京都の家主さんは、うるさい人が多い。職種やペットの有無などを問うのはいうまでもなく、いろいろとうるさく口を出してきて、中には子どもは一人までといった条件を突きつけてくる人もいる。こんな状況で、快適な暮らしを始めることができるのだろうか。
賃貸住宅派の言い分は、「住宅価格とほぼ同額のローン金利を払うぐらいなら、賃貸住宅に住んで、金利分を有意義に使うほうがいい」ということのようだ。なるほど、そう言われると賃貸住宅のほうがいいようなような気もしなくもない。何も知らない人なら、なおさらの
ことだろう。けれども20才のときに賃貸住宅の営業マンからスタートし、以来20年、あら
ゆる不動産の現場で揉まれてきた私にとっては、「ホンマかいな」といった話なのである。
1ケ月の家賃が10万円の賃貸住宅、1ケ月の返済額(住宅価格+ローン金利)が同じく
10万円の分譲住宅があったとしよう。京都市内でファミリー向けの家とすれば、どちらも
平均的な額である。
「住宅価格とほぼ同額のローン金利」なので、住宅価格が5万1千円、ローン金利が4万9千円と仮定する。賃貸住宅派の話では、賃貸住宅に住んでローン金利分を「有意義に
使え」ということなので、4万9千円を10万円からマイナスする。すると、家賃は5万1千円しか使えないことになるのである。。
京都市内で家賃5万1千円の賃貸住宅を探すと、新築ならワンルームマンションぐらい
しかないだろう。それも、交通の便などがよい場所では、まず見つからない。
また、「有意義に使え」というのは、つまり「貯蓄せよ」ということだろうが、お金はあれば
あったで使ってしまうもの。「有意義に使われる」かどうかは疑問である。私の経験を振り
返ってみても、20年近く賃貸住宅に住まれていた方が、その間に貯蓄したお金で分譲
住宅を購入されたというケースは一度もない。反対に、20年のローンを完済された方が
貯蓄を多く残されていたというケースが幾度もある。
そもそも、賃貸住宅は家主さんの家賃収入を第一に考えて造られるもの。毎月にかかる住居費用が同額として、分譲住宅よりも快適に住まえる賃貸住宅なんて、ないに等しいのではなかろうか。私の話を「ホンマかいな」と思われる方は、試しにぜひ一度、探してみて
ほしい。きっと、私の言葉に納得していただけることだろう。
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